「財形貯蓄」という選択
財形貯蓄は、毎月、従業員の給与から一定額を天引きし、雇用主が金融機関に振り込む貯蓄制度です。毎月コツコツ確実に貯金したい人におすすめです。
基本的な仕組み
正式名称は勤労者財産形成貯蓄制度といいます。毎月の給与から天引きされ、自動的に貯蓄できるため、知らぬ間に資産を形成できるのが特徴です。確実にお金を貯められるので、貯金が苦手な人におすすめです。
目的
財形貯蓄は「勤労者財産形成促進法(1971年制定)」に基づいて設けられました。職場や国が従業員の資産形成を支援し、福利厚生の一環として自主的に導入するもので、生活の安定と国民経済の健全な発展に寄与することが目的です。
雇用形態に関係なく加入できる
職場で財形貯蓄を導入しているのであれば、正社員だけでなく、アルバイト、パート、派遣社員など雇用形態に関係なく誰でも加入できます。ただし、フリーランスのように個人事業主として働いている看護師は利用できないので注意してください。
また、財形貯蓄への参加は任意であり、強制されるものではありません。労働基準法第18条第1項でも雇用者による強制的な貯蓄は禁止されています。
対象の貯蓄商品
財形貯蓄は、銀行、保険会社、証券会社などの金融機関から商品を選択し、お金を積み立てていきます。貯蓄商品には「預金」、「貯蓄型の生命保険や損害保険」、「投資信託(金銭信託、貸付信託、公社債投資信託、株式投資信託など)」、「有価証券(国債、地方債、社債、政府保証債、利府金融債など)」があります。
無断で廃止することはできない
従業員の資産形成を支援する財形貯蓄は、雇用主に不利益をもたらすものではありませんが、何らかの理由で制度の廃止を検討するケースもあります。しかし、財形貯蓄を無断で廃止することは労働契約法第9条により禁止されています。
その一方で、労働契約法第10条では就業規則の変更後に従業員に周知し、合理的な変更である場合に限り、従業員の同意を要しないと規定しています。
財形貯蓄は福利厚生の一種ですが、賃金や労働時間の変更ほど悪影響を与えるわけではないため、財形貯蓄を無断で廃止することは「合理的な変更」と捉えられることもあります。
とはいえ、無断で変更することは従業員を混乱させ、場合によっては不利益をもたらす可能性があります。雇用主は恣意的に制度を廃止するのではなく、「なぜ制度を廃止するのか」「資産形成のための貯蓄制度に代わる支援はあるのか」を明確に説明しなければなりません。
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始め方と注意点
財形貯蓄を利用できるのは制度を導入している職場の従業員だけです。制度がない場合は利用できないので職場に確認しましょう。財形貯蓄は目的によってどれを利用すべきか変わってくるため、使用目的を明確にしておかなければなりません。
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